本書は押引き+リーチ判断を問う問題で構成されています。 本書の冒頭にもありますが、リーチ麻雀(日本式麻雀)における押引きは非常に重要です。なぜなら リーチ麻雀(日本式麻雀) においてのみ振り込んだ人が全額支払うルールだからです(他のルールでは上がった人以外で折半)。通常振り込む人は上がった人の次に良い手を持っていた人になるので、自分が4人中1番手なのか2番手なのかを判断する能力は非常に重要なのです。
ピンフはリーチ、シャンテン押ししない、親リーには押さない等 の基本セオリーがありますがが、これらと違う打ち方をすべきなのは どういった場合なのか、押引きのボーダーラインはどこなのかという例が豊富にあるのでいわゆる量産型デジタルから抜け出したい人向けといえます。 第2章以降の問題はよく出てくるシチュエーションながら、鳳凰卓レベルの人でも迷うような良問がそろっていると思います。
また本書は局消化や他家操作の概念が 初めて提唱された戦術書だと思います。特に天鳳などの順位戦においてはこういった考え方があるかないかで平均順位に大きな差がでてくると思われますし、何より自分の選択肢が広がって楽しくなること請け合いです。
回答は全体的に先切りのまたぎを安全視しすぎのような気がしましたが、村上プロも同意見だったのでそういう基準の強者も多いということなのでしょう。
本書は2017年出版ですが、それ以降これだけ麻雀本が出版されているのに、押引きに特化した戦術書は出ていません。それだけ本書の内容が傑出しているといえるのではないでしょうか。 ちなみに本書はすでに絶版となっており定価は1,200円でしたが、一時期Amazonでは10,000円を超える価格で取引されており、今の眼で読み返してみても古臭いと感じる問題は一つもありませんでした。天鳳6段前後の人にとっては必読の書と言ってよく、強くおススメします。
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